値上げや未知の商品・サービスの価格付け、値付手法20、PSM分析

値上げをすると、もしかしたらお客様が離れてしまうのではと心配ですね。
新しい商品やサービスの価格付けをする際にも、その価値が分からないことがありますね。

そういう時に、価格の調査をする方法に、PSM分析があります。
値上げしても、お客様が離れることはなく、
値上げ出来る高値の上限(プレミアム上限価格)と、値ごろ感を演出し、一気に他社から顧客を奪える下値(バリュー下限価格)を知ることが出来るアンケートです。

PSM分析のアンケート

アンケートにはポイントがあります。
・購買見込み者に書いてもらいましょう。
・顧客感情の理解。
・熱い依頼をしましょう。
・簡単なアンケートだと伝えます。
・商品やメニューの見込み客に書いてもらいましょう。(リピーターさんに書いてもらうと、値上げしてほしくないという心理が働くため、好ましくありません。)
・最低でも40人は集めましょう。

お客様が購買する時の感情は、価格付けにより、以下のよう変化します。
A,安くしすぎると、安過ぎるという疑い。安すぎることにより品質の不安。疑いの感情。安過ぎてもマイナスイメージになります。
B,ちょうどよい安さだと、これは安いという割安感。これは嬉しいとか、発見の喜びになります。
C,ちょっとだけ高くすると、ちょっと高いなという割高感。でも欲しいと言う迷い。なので我慢して買うことになります。
D,高くしすぎると、高すぎると言う割高で損な気分。奪われる怒り。
中でもBとCがポイントです。

アンケートの内容

アンケートの内容は以下です。
お客様が嘘をつきにくいような文面になっていますので、なるべく変えないでください。
下記の、「商品」のところは、「メニュー」にしても構いません。

問1、あなたの意見では、この商品が「これは安い」と感じ始める金額はいくらですか?
問2、あなたの意見では、この商品が高いが購入する価値がある」と感じる金額はいくらですか?
問3、あなたの意見では、この商品が「購入するには高すぎる」と感じる金額はいくらですか?
問4、あなたの意見では、この商品が「安過ぎで品質が心配だ」と感じる金額はいくらですか?
問5、その商品なりサービスなりに対する感想を8項目から選んで丸をしてください。
A,何が何でも手に入れたい
B,ぜひ欲しいと思っている
C,欲しいと思っている。商品価値は平均だと思う
D,欲しいかどうかはわからないが商品価値は平均だと思う。
E,欲しくは無いが商品価値は平均だと思う
F,必要な商品だと思うが、あまり欲しくない
G,必要な商品でもないし、また欲しくもない
H,このような商品には興味がない。

分析方法

まずは、上記で得られたアンケート結果を表にします。

今回は、とある斬新な施術の金額はいくらが良いかという趣旨でアンケートを取りました。
簡単なモデル図で説明しますので12人としました。
本当は40人以上集めてください。
金額の目盛りは、商品やメニューによっては、100円単位~1000円単位になることもあるでしょう。

 

次に、金額別に何人いるかを数えます。
その際に、明らかに金額感覚がおかしい答えの方(9さんの30000円)や、無回答がある(8さん)は除きます。
なので、合計は10人となりました。
そして、残りを集計して、累計人数表を作成します。
今回、目盛りは2000円から500円ごとにしました。
そして、4さんの3990円は4000円、7さんの2900円は3000円という感じで四捨五入して集計します。
面倒でなければ、目盛りを増やして、表を作成してください。今回は分かりやすいように四捨五入しました。

 

 

次に、問ごとに分けて累計と、その割合を計算します。
まずは、問3と問4を計算しましょう。

累計は、左から順に足していきます。
%の計算方法は、累計の数÷集計人数です。
例えば、累計が2人なら2人÷集計数10人×100(百分率)=20%となります。
5500円のところは空白ですが、これだと折れ線グラフが上手くいかないので、左の数字をコピーします。
なので、赤い20%は左の5000円のところの20%をスライドさせました。
同様に、7500円、8000円は左の7000円のところの50%をスライドさせました。

 

次に問4も上記のように計算します。

 

 

次に問1と問2を計算しましょう。
しかしながら、問1と問2は反転グラフを作ります。理由は、後で説明します。
反転グラフを作るためには、累計を右から順に足して計算します。


5000円、5500円の赤い文字の10%ところは、右の10%をスライドさせました。

 

 

次に%の欄だけ集めて、表にします。


これを折れ線グラフにします。エクセルを使うと簡単に出来ます。
下記のような4つの点が交差している折れ線グラフが出来ます。

問1は反転させましたので、「まだ安いと感じていない」人の割合(青い線)
問2は反転させましたので、「まだ高いと感じていない」人の割合(赤い線)
問3は「高すぎると感じる」人の割合(緑の線)
問4は「安すぎて不安と感じる」人の割合(紫の線)

反転グラフを作った理由を説明します。
実は、質問の方法に工夫があったのです。
例えば、問2の「これは高いが受けてみる価値がある」と感じ始めた方が30%いたとしましょう。
そうすると、残りの70%は「まだ高いと感じていない」人の割合となります。
実のところ、本当に聞きたい質問は「まだ高いと感じていない」人の割合です。
しかしながら、ストレートに「あなたはいくらだと、まだ高いと感じませんか?」と質問しても素直には、答えないのです。
そのメニューを安くしてもらいたいから、低く回答しようという意図のある回答が紛れ込みます。
なので、あえて、逆の質問をしました。

問2の「まだ高いと感じていない」のグラフと、問3の「高すぎると感じる」のグラフの交点が、
バリュー上限価格です。このグラフの場合は6250円あたりですね。
この交点よりも高い金額なら、高すぎるので多くの人が買わないという価格になります。
付加価値が高ければ、この交点に近い金額を設定するといいでしょう。

次に、問1の「まだ安いと感じていない」と問4の「安すぎて不安と感じる」のグラフの交点は、バリュー下限価格です。このグラフなら、3600円あたりですね。
バリュー下限価格は、お客様が最大化する価格です。
この交点の上でも下でも客数は減ります。
ですが、低い価格なので、利益は少ないですね。
そもそも、粗利の大きな商品とかならいいでしょうけど。
バリュー下限価格よりも安くすると、怪しまれて、結果的に売上が伸びません。

問1と問3の交点が適正価格だとも判断できますし、バリュー上限価格とバリュー下限価格の間なら、おおまかな適正価格と言えるでしょう。
このグラフからすると交点は4800円くらいですね。
実は、その中で、売り上げが最大になる価格を、以下の方法で予想できます。
それは、累計人数×その価格です。

作成した累計人数表を利用し、その価格の累計を出して、そのグラフを作ってみましょう。

【表7】


まずは、上記のように、縦に人数を足します。
その累計×価格で表を作ります。


それを、エクセルを使い棒グラフにします。
エクセルでグラフを作る際、価格の欄は円をつけましょう。2000円というふうに。
そうすると、項目として扱われます。

その棒グラフは山が連なっているように見えませんか?
試しに、頂点を結んでみます。
山の高いところから、価格が上がると売り上げが下がるので、山のピークのところで価格付けするのが、お勧めです。
逆に、山のピークの手前ならば、損している可能性もあります。

例えば、バリュー上限価格だった6250円付近で設定しようと思った時、表を見てください。
6000円でも6500円でも売り上げは変わらないなと想像できます。
バリュー上限価格にするには、本当にその価格でもやっていけるサービスなのか、その付加価値はあるのかを検討しなければなりません。
サービス<価格の差だとクレームにつながります。

いやいや、粗利は減っても多くのお客様に受けてほしいから、バリュー下限価格付近で設定しようと考えたとします。
しかしながら、4000円にしてしまっては、逆に売り上げが低くなることも予想できます。

では、売り上げが最大になる金額はどこでしょうか?
それは、4500円ですね。
9000円も高い山ですが、それ相当の付加価値が無ければ、この売り上げは見込めません。
5000円にすると、売り上げがグッと落ちますね。
この表から推測するに、4500円が一番いいと思います。
初めに作った折れ線グラフ(問1と問3の交点)から判断しても4800円くらいでしたね。
なので、目盛りを小さくすれば、4800円が一番売り上げが上がる価格なのかもしれません。
しかしながら、実際には、交点の適正価格と売り上げ予測表には、ズレがあるかもしれませんので、ご注意ください。

 

これは、あくまでアンケートの結果ですので、諸条件によっても、実際の売り上げは変わってきます。
お店の立地条件や雰囲気の違い、ライバル店の有無による売り上げ予想などは、このアンケートでは読めないからです。
とはいえ、ライバル店の価格ばかりに目を向けて、価格競争はしないように。
ですが、ひとつの目安となる有効な方法だとも言えます。

ちなみにですが、アンケート結果を単純に計算してみますね。【表7】参照。
そうすると、問1の総計は51390円、問2の総計は73000円、問3の総計は111500円、問4の総計は34480円となります。
12人の総計ですから、一人あたりの平均は、問1は4283円、問2は6083円、問3は9292円、問4は2873円となります。
そうすると、問1から推測するに4283円くらいがいいんじゃないかと思ったり、6083円がいいんじゃないかと思いますよね。
でも、4283円よりも4500円の方が、売り上げが高いとしたら、217円の売り上げを損しています。
6083円にしようと、6500円にしようと、売り上げは変わらないことも分かります。
なので、このアンケートは、より正確な予想を立てるには最適です。
今回は、分かりやすく単純に500円単位にしましたが、1円単位とかで計算すれば、より正確に金額予想できます。

 

<h4>実際のアンケート</h4>

当社で実施したアンケートで説明します。
まずは、アンケートの実施者は誰であるのかを明確にするために、あなたの会社名か素性を書きましょう。
次に、名前を書いてもらいましょう。
無記名でも記入制でも構いませんが、どういう素性かは書いてもらいましょう。
アンケートを上手く作成すれば、A4で1ページに収まると思います。
以下がアンケートです。

 

アンケートのお願い

初めまして。◯◯株式会社の代表取締役の〇〇〇〇です。
このたびは、お忙しいなか、貴重なお時間をいただき、快くアンケートにご協力いただきまして、誠にありがとうございます。

簡単な質問になっております。
今回のアンケートを元に、より良いお店づくりを目指して参ります。
今後とも、よろしくお願いします。

当社では、スタッフが今までに修得してきた手技を、オリジナルメニューとして打ち出したいと考えております。
例えば、身体を根本的に改善する、すごい効果ありの手技(新手技療法)があったとします。マッサージとは限りません。これに、金額をつけてください。
問1、あなたのご意見では、このメニューが「これは安い」と感じ始める金額はいくらですか?


問2、あなたのご意見では、このメニューが「高いが受けてみる価値がある」と感じる金額はいくらですか?


問3、あなたのご意見では、このメニューが「受けるには高すぎる」と感じる金額はいくらですか?


問4、あなたのご意見では、このメニューが「安過ぎで技術レベルが心配だ」と感じる金額はいくらですか?

問5、この新手技療法を提案された時、あなたの感想を最もよく表現する記号に○をつけてください。
1、何が何でも受けてみたい。
2、機会があれば、是非、受けてみたい。
3、まあ、受けてみたいと思っているし、魅力も感じる。
4、受けてみたいとは思うが、普通の魅力しか感じない。
5、受けてみたいかどうかは分からないが、普通くらいの魅力があるのでは。
6、やってみたら身体にいいのは分かってはいるが、あまり受ける気はしない。
7、受ける気はしないし、魅力も感じない。
8、新手技療法に興味はない。

 

質問5のアンケートの見方

問5の質問では、お客様のニーズとウォンツが分かります。
たとえ、価格を上手く設定できたとしても、ニーズが無ければ、売れないに決まっています。
なので、問5の質問が大事です。

1、何が何でも受けてみたい。
2、機会があれば、是非、受けてみたい。
3、まあ、受けてみたいと思っているし、魅力も感じる。
4、受けてみたいとは思うが、普通の魅力しか感じない。
5、受けてみたいかどうかは分からないが、普通くらいの魅力があるのでは。
6、やってみたら身体にいいのは分かってはいるが、あまり受ける気はしない。
7、受ける気はしないし、魅力も感じない。
8、新手技療法に興味はない。

という質問の中で感想1と2が「買いたい」という人。
感想3~5が平均点。
感想6以降は「買わない」という人。
感想1は少なくてもあまり気にすることはない。
感想2が二割以上あれば合格点。
感想3はお伝えするDMやチラシや、トークなどを工夫すれば、ある程度、感想2に引っ張ることが出来ます。
感想6以降が三分の一を超えていると、それは危険信号。売れる可能性は低いです。