商品サイクルと価格との関係。値付手法1、シーケンシャルスキミング

シーケンシャルスキミングとは、時間の経過を考慮した価格差別のことです。
私たち手技療法業界と小売りや販売業には大きな違いが一つあります。


それは、手技療法業界は、一般的に、自分の身体と時間を使い、一日当たりの売り上げ量や額に限界があることです。
ですが、販売業は、ネットやテレビ通販などを利用すれば、一人が一日に数千万円を稼ぐことだってできます。
なので、価格設定を考える上で、業態の違いの差があります。
商品サイクルが早い商品は、シーケンシャルスキミングは向いていますが、施術メニューには、この手法は向いていません。
商品サイクルというものが無いからです。
商品サイクルとは、新製品が出て旧製品は売れなくなる、季節的な要因で売れなくなる、賞味期限切れで売れなくなるなど、時間が経過すると何らかの要素で売れなくなる商品です。

大手家電屋さんのように、次の新商品が控えている場合などは、型落ち製品を値下げして在庫処分なんてことも出来ます。
まずは、このことについて、説明します。
新商品を出した時、型落ちの物は、早く売り切ってしまいたいので、安くして販売します。
陳列棚に限界があるからと、他社も割引してくるからです。
安売りするということは、ターゲットとなる客層を変えているのです。
高くても構わないから高機能の物や、新しいものが欲しいというお客様は、商品の出始めに買いますが、ちょっと待てば安くなるから、それまで待てばいいやと考えるお客様は、型落ちを待ちます。
つまり、早く買うと、その機能を早く受け取れる分、高いのです。
もちろん、早く買うお客様も、待てば安くなることを知っています。
ですが、早く欲しいから買うのです。
ちなみにこれは、早くに手に入れられる物品販売の商売ではOKですが、ホテルや航空券のような使う日が同じ業界では使えない手法です。
早く予約したら、高いなんて、ありませんよね。
なので、このような業態では、逆の手法をとっています。
先の予約をしてもらうことで、利益が確定しますので、安定した経営が出来ます。
つまり、早く利益を確定したいので、少しくらい割引しても早く予約してほしいとホテルや航空会社は考えています。
安売りすることは、ターゲットを変えているとお話ししましたが、そのことについて説明します。
新商品は、あまり値引きはしませんね。
そんなに値引きをしなくても売れるからです。
高い価格でも良いという客層を狙っているからです。
価格を時間の経過と共に値下げしていく戦略をシーケンシャルスキミング戦略といいます。
初めは高い価格でも良いという客層を狙い、その需要が無くなると、一つ下の価格帯の客層を狙い、価格を下げます。
初めから誰でも購入するような利益ギリギリの安い価格をつけると、多くのお客様が初めから買うでしょうが、もっとお金を払ってでも欲しいと思っているお客様からの金額を損してしまいます。
やはり、企業活動ですから、ちゃんとした利益を得なければ継続的に商売ができませんので、これは自分の首を絞めるようなものです。
もしも、シーケンシャルスキミングではなくて、固定金額で販売した場合の、利益の損失を、模式的なグラフで説明します。

縦軸は、お客様が支払ってもいいと考えている価格。
棒グラフは棒の高さではなくて、面積でみてください。
青い棒グラフは900円で買ってもいいと思うお客様が100人で、900円×100人で9万円という図です。
赤い棒グラフは600円で買ってもいいと思うお客様が100人で、600円×100人で6万円という図です。
緑の棒グラフは300円で買ってもいいと思うお客様が100人で、300円×100人で3万円という図です。
商品の利益は300円以上なら出ると仮定します。
左のグラフは、シーケンシャルスキミングで価格付けしたときの図です。
例えば、左の図の売り上げは、(900円×100人)+(600円×100人)+(300円×100人)=18万円だとします。
しかしながら、シーケンシャルスキミングを利用しないで、ある一定の価格だけで売ったとしたら?
例えば、600円で売ったとしたら、900円出すつもりでいた人は、安くて喜びますが、300円しか出さない人は買わないと思います。
そうなると、売り上げは、900円出すつもりでいた人(600円×100人)+600円出すつもりの(600円+100人)=12万円となります。
つまり、300円出さない人の100人=3万円を損するだけでなく、900円出すつもりでいた人の差額の300円×100人分=3万円も、同時に損をしてしまうのです。
なので、家電など、商品サイクルの早いものは、シーケンシャルスキミングを利用した価格変動をします。
それが、売り切りたいし、少しでも多くの利益を得る有効な手段なのです。
ですが、シーケンシャルスキミングにはデメリットもあります。
それは、消費者の購買欲に悪い影響を及ぼすと言うことです。
賢いお客様は、待てば価格が下がることを心得ているので、買い控えするでしょう。

もう一度説明します。
シーケンシャルスキミングとは、時間の経過を考慮した価格差別のことです。
なので、商品サイクルが早ければ、値下がりも早いということです。
逆に言うと、商品サイクルが遅いものは、値下がりするのは遅いのです。
商品サイクルが遅い商品なら、値下がりしにくいので、待っても、安くならないということです。

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