価格設定で失敗してしまう理由
価格戦略で失敗してしまう理由には様々あります。
それは、
①本にはこう書かれていたから、業界の常識としてはこうだからなど、何らかの基準にとらわれている。
②競合他社の価格を怖がりすぎている。
③価格しか見ない顧客を取り込もうとしている。
④この値段でないと買ってもらえないと決め付けている。
⑤どんぐりの背比べのような価格競争から抜け出せていない。
⑥他社との差別化がない。高くても買いたいと思わせるような付加価値がない。
⑦経営の数字に弱い。または正しく理解できていない。
⑧顧客のいい値に振り回される。
などなど。
多くのお店の場合、価格決定には自店の運営コストに必要な利潤を加えて決めるか、対競合店の強弱で調整するパターンでしょう。
そもそも、価格付けという考えがなく、周りと同じように価格付けをしている方が多いのではないでしょうか?
果たして、それでいいのでしょうか?
例えば、あなたが誰かに「お小遣いをあげるよ。」って言う時の場面を想像してみてください。
子どもは1000円くらい貰えるのかと思い、「じゃあ、プラモデル買うから1000円頂戴」と言いました。
でも、あなたは、2000円までならあげるつもりでいましたが、1000円しか要求されませんでした。
この場合、あなたはいくらをあげますか?
まあ、多くの方はあまりあげすぎるのも良くないかなと思い、1000円あげると思います。
しかしながら、あなたが2000円を子供にあげるつもりだったことを、子供が知っていれば、「2000円頂戴」と言ったかもしれませんね。
ここにミスマッチが生じています。お気づきでしょうか?
もしも、冒頭の質問で、平均くらいの価格を付けた方は、もしかして、損をしているかもしれません。
あなたの施術の価値を見誤っているかもしれません。
お客様はもう少し払ってもいいと思っていたかもしれません。
もしかして、もう少しお金を払っても良いと思っているお客様から、その分をいただけたとしたら、あなたの生活はどれほど、潤うことでしょう。
いいサービス、いい技術を提供したなら、いい価格をいただける可能性は十分あるのです。
マーケットは、あなたが想像しているより大きいし、お客様は想像しているよりお金を払いたいのです。
もちろん、良いサービスならば。
マーケットが小さいと悩んでいるのは、今のマーケットにとどまり、他のマーケットを開拓できないからです。
一概に、私たちの業界は、お給料はそんなに高くはありませんね。
私は、施術者達は、もう少し儲けても悪くはないと思っています。
「業界が安値で売っているからお給料が安いのではないの?」という批判が聞こえてきそうですが、そうではありません。
昔から、施術者のお給料は安い業界でした。
その代わり、一所懸命修行して、開業して、店長になったら儲けようという方が多くいた業界でした。
技術職の業界は、得てしてそのようなものかもしれません。
自分のお店なら金額設定は自由です。
周りに合わせなければいけないというルールはありません。
安くするのも自由ですし、高くするのも自由です。
だからと言って、「じゃあ、60分100万円にする」なんてことは、普通は出来ませんよね。
それは、世間一般の常識とかけ離れてしまうからです。
では、世間一般の常識に合わせるということは、周りの価格と同じなんじゃないの?
と思われるでしょうが、それが少し違うのです。
「価格の心理学」を知れば、損をする可能性は低くなるということです。
無駄割だって防げます。
価格とは、単に金額で表される商品、サービスの価値ではありません。
企業活動においては、いかに多くの利益を生むのかということを探るということです。
価格付けを勉強していけば、2000円まで出すつもりでいたことも分かるし、付加価値をつけて売れば、3000円だってもらえる可能性があるということが理解できるのです。
決して、高いお金を稼ぐのは悪ではありませんよ。
お金があれば、次の勉強の資金にも出来ます。
術者が成長すれば、それは業界のみならず、お客様にも利益があることです。
しかしながら、競合他社を全く見ずに価格設定しろということではありません。
文献には、そのように書いてあることもあるでしょうが、本質は違います。
敵を知り己を知らば百戦危うからずの故事にある通り、競合他社の動向も知るべきです。
とはいえ、観察するのは、お店の作りや接客態度、そのお店の価格のカラクリ(価格の裏にある仕組み)です。
それを踏まえ、真似をするのではなく、自分のお店の価格を考えてください。
1回8000円のお店を作ろうということになれば、どうすれば8000円いただけるのだろうと真剣に考えてください。
その答えは、実は、お客様が持っています。
そのお客様の答えを知るには、それなりの知識が必要です。
独自のウリやサービスの開発、商圏分析、良いスタッフの集め方、価格設定の不思議など、いろいろな知識が必要です。
しかしながら、お客様に直接、聞いても本当の答えは見つかりません。
お客様も価格の本質を知らないからです。
ですが、大勢のお客様が知らず知らずに同じような行動をとります。
なので、そのペルソナ(目標とするターゲット)の行動パターンから推測していくと、より正解に近づけると思います。
もちろん、時に、勘で成功する人もいます。
しかしながら、勘とは、博打ではなく、いろいろな知識や経験から集めた答えだとも言います。
なので、逆説的に言えば、いろいろな知識や経験があれば、勘で決めてしまってもいいかもしれませんね。
しかしながら、多くの方は、そのような知識や経験が足りない可能性は高いです。
例えるなら、一緒に山を上る人が3人いたとします。
一人は、登山はあまり回数多く行ったことがない。←業界の初心者
一人は、登山大好きで何回も行っている。←あなたは、ここかもしれません。
一人は、登山家と言えるほどのプロ。
心強いメンバーですね。
もしも、道に迷った時、あなたはどの方の意見を信じますか?
三人とも、「私の勘では、こっちかな~」と言っているとしたら。
やはり、プロのように知識や経験が豊かな方ほど、より生き延びる可能性が高いと思いませんか?
もちろん、プロでも間違うこともありますけど・・・。
なので、勘を磨くためにも、知識や経験が大事なのです。
④この値段でないと買ってもらえないと決め付けている。についてですが、価格を決める方が、その人生の中で初めに関わった価格と同じような価格をつけるそうです。
同じ業界ではなくても、安いものを売った経験が、人生の初の仕事だったら、やはり安い価格をつけるそうです。
なので、注意しましょう。必ずしも安くする必要はないのです。
あと、「少数の法則」に振り回されている可能性もあります。
少数の法則とは、少数の方の意見をあたかも大多数のお客様もそう思っているという風に勘違いしてしまうことを指します。
失敗しやすいので注意が必要な価格戦略にコストプラス方式というものがあります。
これは、材料費や人件費など、かかるコストを積み上げて、その上に利益はこのくらい欲しいなという感じで価格を決めるものです。業界の成長期にはいいかもしれません。
しかしながら、問題点があります。
お客様は、その商品がいくらのコストで作られたということには、全くの興味はなく、いくらで売っているのかという点で判断するということです。
開発や勉強のために、数約万円使っていても、それを価格に転嫁すると、お客様のニーズとはかけ離れてしまいますね。
例えば、数十万の勉強会で習った手技だから、このくらいの価格をプラスしようというのは、それを欲しいお客様にしかニーズはありません。
つまり、お客様が感じる価値に基づいて価格設定すべきです。
だからと言って、安くすればいいということでもありません。
このブログの価格セミナー戦術の説明で、その価格設定のやり方を学んでください。
コストプラス方式のもうひとつの問題点は、量を無視していることです。
例えば、施術者の人件費が、一日1万円だとします。
その場合、一日に5人施術したら、人件費のコストは2000円で済みますね。
しかしながら、一日2人しか施術しなかったら、人件費のコストは5000円となります。
分かりやすく説明しましたが、このようにコストプラス方式とは、量が増えた場合に、かかるコストは変動するものをということを無視して、価格設定するというものです。
当業界の場合、平均値で計算すれば、変動する幅も小さいと思いますが、製造業などは、大きく変わってきます。
手技療法業界において、施術と施術の間にインターバルを作るお店が多いのですが、このインターバルにもコストがかかっていることはご存知ですか。
お客様に直接、提供しているわけではありませんので、想像しづらいかと思いますが、待機している時間というコストがかかります。
10分のインターバルを作ると、10分のロスだけかというと実はそうではありません。
お客様のご希望される時間は、きりがいい時間ですから、10分のインターバルをつくると、得てして、60分の休憩にもなりかねません。
これを考えると、インターバルありのお店は、60分6000円いただかなくては成り立ちません。
このインターバルをなくせば、60分4000円でも経営が成り立ちます。
完全歩合制のお店は、お客様の入らない時間帯のコストを削減したものですので、歩合はその分、高くあげられます。
しかしながら、時給や日当制、固定給のお店は、このコストも考慮して給与計算せざるを得ません。
なので、歩合制より、お給料が低いように思われます。
しかしながら、歩合制は、出勤しても、お客様に入らない日は給与0円ということにもなりかねません。
なので、最低保障+歩合みたいなのが、働き手のリスクも少なくて、いいのではないかと思うのです。
コストというのは、景気によっても変動しますね。
運輸業界のガソリンなどもそうでしょう。
当業界においても、他人ごとではなく、スタッフの交通費にも影響があるかもしれませんし、何かの材料費とか上がるかもしれません。
日常の備品代や、電気代などの光熱費も上がるかもしれません。
健全に運営していく為には、このような変動を自社努力で吸収するだけではなく、価格に転嫁する必要もあるでしょう。
なので、価格は変動したって、いいのです。
むしろ、その心づもりでいてください。
消費税が上がれば、吸収できなくなる会社が多いので、早かれ遅かれ、価格の引き上げが行われます。
経済状態は良くはないのにインフレになります。
結果的には、多くの会社が引き上げます。
なので、吸収しようと考える前に、消費税分の引き上げをどのように行うのかを考えた方がいいでしょう。
今後、様々なもののコストが上がります。
遅ればせながら、引き上げようとしたら、価格を上がったことが目立ちます。
いくら、吸収しようとした努力の結果、引き上げたことになったとしても、お客様はその努力には目をくれていません。
なのでいっその事、世間のいろいろなお店が値上げをする際には、一緒に上げた方が得策です。
⑧顧客のいい値に振り回される。についてですが、実際のケースでとある失敗談を聞いたことがあります。
それは、価格付けをお客様にしてもらうことです。
確かに、そういう戦術はありますが、当業界では不向きかもしれません。
お客様は、どのくらい払えばいいのかが分からず、目安になるものを欲しがります。
その目安を聞いたうえで、満足度が高ければ、少し上乗せするでしょうが、満足度がそこまで高くなければ、少し減らすかもしれません。
時に、私も懸命に施術してもやっても、お客様の満足度は低かったかもしれないだろうなと思う時があります。
相性もありますから仕方ありません。
そういう場合には思っている以上に安い金額しか投じてくれないかもしれませんね。
なので、お客様に決めていただくのは、ちょっと不安定な戦略なのです。
信頼関係が成り立っているお客様とでしか、上手く運用できません。
この戦略が上手くいくのは、主力商品にしない方がいいです。
一部のサブの商品で提供し、その価格付けをお客様に任せるということならいいかもしれません。

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