経営の数字と値下げの落とし穴

もしも良いスタッフを集めることが出来たとしても、
その中から良い店長を見つけ出し、その良い店長が、その経営者(オーナー)に対して協力的でなければ、お店を発展させることが出来ません。

いくら協力的な店長であっても、人間性の良い店長でなければ、やはり同じ結果です。
良い店長とは、技術レベルが高く、教育熱心で、人望が厚い店長です。

店長の経営のスキルについては、注意深く観察してください。
経営者(オーナー)がやれるくらい勉強しているなら問題ありません。
しかしながら、技術畑で育った方は、経営の勉強をしているわけではないので、経営スキルが我見にとらわれていますので、まかせっきりにするのは危険です。
よくある失敗は、店長が数字を把握していないケースです。
その為、お客様には割引やサービスしないと悪いのではと思って、割引してしまいます。

そこで、経営の数字を教えてください。
ざっくり言えば、施術者一人あたりの、一日の売上から、人件費と、日割りして人数割りした光熱費、家賃、税金、経費などを引きます。
そうすると、大体ですが、一人がいくら売り上げたら、プラスなのかマイナスなのか分かりますよね。
皆様の会社でも、この数字を出し、店長さんやスタッフの方へ伝えるのはいいことかもしれません。

皆様が開業するときに役に立つ、目安の数字をお教えします。一人の術者がどのくらいの売り上げをあげるのかという数字ですが、大手でも小さいお店でも、だいたい一人2万円くらいだそうです。
もちろん、それ以上に儲かるお店とそうではないお店はあると思いますが。
人件費は、売り上げの、大体6割くらいが良いです。
その他にかかるコストは3割くらいです。
なので、残りの1割くらいが利益になるでしょうが、これは小さな会社ほど、安定しません。

と説明してきましたが、新規さんを呼ぶ為なら、多少、損益分岐点を割り込むのは仕方ありません。
ですが、安売りのお店の場合、500円割引であっても、安易に行うことは考えなくてはなりません。
割引で集客する際のポイントは、その来店が、次の来店につながるのか、もしくは、高額メニューへの移行が期待できるのかという点です。

利益だけで考えると、割引がいかに利益を圧迫するものかということを理解してください。
もしも、割引をやるとしても、全員に同じ割引をやる必要はありません。
ターゲットの数を絞ることが重要です。
どのお客様も同じ金額の割引をやってしまって失敗してしまうケースに、フラッシュマーケティングの利用があります。
フラッシュマーケティングとは、サイトなどで特典のあるクーポンをオンライン販売する手法です。
販売数を絞らないままクーポンを出すと、多くのお客様が購入された場合に、ほとんど利益がない、そのクーポン券をこなしていくだけで数日間はタダ働きのようになり、徒労に終わります。
なので、フラッシュマーケティングはお勧めは出来ません。
フラッシュマーケティングのお客様は、リピート客にもなりにくいという特性があります。
なので、私たちのような、時間を使って施術してお金をいただく業界では向いていません。
しかしながら、情報販売やセミナー、大量生産できる製造業には向いているかもしれません。
フラッシュマーケティングは浸透価格戦略ですので、時間と手間をかけてお金をいただくサービスでは、利用時には、よほどの注意が必要となります。

とはいえ、お客様が来る時期と来ない時期がありますね。
来ない時期に、スタッフを遊ばせておくよりも、スタッフのお給料を支払うためのお金を確保しなければならない時があるでしょう。
その時に、普段こないお客様にならば、安売りするのは賛成です。
しかしながら、普段から来ているお客様にも同時期に値引きしたら、ますます利益が無くなりますので時期をずらしましょう。
普段から来ているお客様には、利益が確保できる時期に何かしらの還元してあげるのがいいと思います。
割引でダメなケースとしては、以下のようなこともありましたのでご注意ください。
以前の割引の際に来ていたお客様が来店され、その時の割引をお願いされても、それに従ってはいけません。
有効期限の切れたクーポンを持ってきて、割引をお願いされても、従ってはなりません。
割引というのは、戦略的に行い、やるべき時期とターゲットがありますので、それ以外の割引は会社の利益を損なう行為なのです。

経営の数字を読めない技術畑で育った方は、集客するために割引を考えますが、数字の真の意味が見えていないので、利益が無くなることが想像できていません。
当社に限ったことではなく、どこのお店でも言えるのですが、従業員は、日々の売上から、人件費以上稼いでいれば、大丈夫だろうとざっくりと考えています。
ですが、経営には、従業員のお給料と光熱費と家賃以上に、お金がかかるものです。
運営と経営が違うというのは、この数字を把握できるか、将来の展望を見抜けるのかという点にあり、経営の勉強をしていない、技術畑で育った店長に、経営スキルを求めるのは荷が重いでしょう。
もちろん、そういうスキルは、店長に、少しずつ教えていくべきです。
まずは、必ずしも、集客=利益ではないことを教えておきましょう。
その上で、利益を上げる作戦を皆で考えてもらうように努めてもらいましょう。
会社組織の真の目的は、利益を大きくすることです。
そしてその利益を従業員に分配することです。
なので、なるべくなら、割引でお客様を増やすのではなく、付加価値で客単価を上げたり、高単価のお客様を集客する作戦が望ましいです。
経理の数字は、これまた複雑です。
特に税金とかは分かりにくい処理がありますね。かくいう私も苦手です。
いくら経営者であっても、経理好きと苦手意識がある方といらっしゃいます。
苦手な場合は、経理が得意な方にお任せするしかありません。
しかしながら、会計士、税理士などは、得てして高価です。
なので、開業当時は、お友達で、そういうスキルを持った方に相談してみるのはいかがでしょう。
人には向き不向きがありますので、経営者、店長、経理、スタッフ、皆が足りない面をお互いに助け合うのが一番だと思います。
技術や運営、経営センス、経理など、一人ですべてのスキルがなければ成功しないというものでもありませんし、一所でも懸命にやっていたら、誰かが支えてくれたりするものだと思います。